PCB

生産量用途

PCBの生産量


表5 日本におけるPCBの生産量と用途別使用量
  生産量 製品別使用量
 生産量 輸入量 合計 電器用 熱媒体用 感圧紙用 その他開放系用 輸出
1954 200   200 200        
1955 450    450 430 20       
1956 500   500 430 50   20  
1957 870    870 760 80    30   
1958 880   880 740 100   40  
1959 1,260    1,260 1,060 120    80   
1960 1,640   1,640 1,320 170   150  
1961 2,200    2,220 1,860 180    180   
1962 2,190   2,190 1,640 240 10 200 100
1963 1,810    1,810 1,270 240 30 170 100
1964 2,670   2,670 1,920 400 100 210 40
1965 3,000    3,000 1,980 450 170 240 160
1966 4,100   4,100 2,600 660 300 270 580
1967 4,480 60 4,540 2,370 730 390 270 720
1968 5,130 100 5,230 2,830 4,720 780 260 540
1969 7,730 110 7,840 4,220 1,290 1,300 330 590
1970 11,110 150 11,260 5,950 1,890 1,920 360 1,000
1971 6,780 170 6,950 4,560 1,160 350 100 730
57,330 590 57,920 36,140 8,800 5,350 2,920 4,560
出典:日本におけるPCB処理の現状と将来動向,平岡正勝,PCBに関する国際セミナー,1996



図3 日本におけるPCBの用途別使用量

表6 総生産量と総輸入量(年次別、組成別)
生産量 使用量 輸出 輸入 小計
3塩化以下 4塩化 5塩化 6塩化 小計 小計 3塩化以下 4塩化 5塩化 6塩化
1953 0                     20
1954 200         200           30
1955 450         450           30
1956 500         500           30
1957 870         870           0
1958 880         880           0
1959 1,260         1,260           0
1960 1,640         1,640           0
1961 2,220         2,220           0
1962 2,190 860 440 800 90 2,190 100 0 0 0 0 3
1963 1,810 690 400 640 80 1,810 100 0 0 0 0 37
1964 2,670 1,270 430 880 90 2,670 40 0 0 0 0 8
1965 3,000 1,390 510 980 120 3,000 160 0 0 0 0 0
1966 4,410 1,910 800 1,500 200 4,410 580 0 0 0 0 117
1967 4,480 1,860 900 1,490 230 4,480 720 60 0 0 0 164
1968 5,130 2,520 850 1,560 160 5,130 540 100 0 0 0 223
1969 7,730 3,880 1,440 2,140 270 7,730 590 110 0 0 0 145
1970 11,110 5,540 1,900 3,060 610 11,110 1,000 140 0 0 10 181
1971 6,780 2,860 1,370 2,250 300 6,780 730 120 0 0 50 170
1972 1,457         1,457 758         0

58,787 22,780 9,040 15,300 2,150 58,787 5,318 530 0 0 60 1,158
引用:『PCBによる環境汚染とその対策(昭和47年6月 通商産業省公害保安局編)』東京都公害局発行(1972)
    『PCB』 日本化学会編、丸善(1980)
    『化学物質と人間』 中央新書(1985)
注:1961年以前については、組成別内訳は不明。1962年以降も組成別が不明な場合があり、組成別生産・輸入量と小計の量は必ずしも一致していない

都道府県別出荷量(年次別、組成別)[PDF] 
製品別総使用量[PDF]


カネクロール(鐘淵化学工業株式会社)
のパンフレット

アロクロール(旧三菱モンサント化成株式会社;
現三菱化学株式会社)のパンフレット

*図をクリックすると大きな図が表示されます。

PCBの用途

1.PCBの用途と使用場所、銘柄例

表7 PCBの用途と使用場所、銘柄の例
用途大別 製品例・使用場所 銘柄
絶縁油 トランス用 ビル・病院・車両(地下鉄・新幹線他)・船舶・鉱山・地下設備などのトランス KC-1000 Ar-T100
コンデンサ用 蛍光灯・水銀灯の安定器用、洗濯機・冷房機器・ドライヤー・電子レンジなどの家電用、モーター用などの固定ペーパーコンデンサ、直流用コンデンサ、蓄電用コンデンサ KC-300
KC-400
KC-500
Ar-1242
Ar-1248
Ar-1254
熱媒体(加熱と冷却) 各種化学工業・食品工業・製紙工業・薬品工業・合成樹脂工業などの諸工程における加熱と冷却、船舶の燃料油予熱、集中暖房、パネルヒーター、乾燥機 KC-300
KC-400
サントサーム(アロクロールの別製品)
潤滑油 高温用潤滑油、作動油、真空ポンプ、切削油、極圧添加材 KC-300
など
Ar-1248
Ar-1254
など
可塑剤 絶縁用 電線・ケーブルの破覆、絶縁テープ、電気製品用プラスティック成型品 KC-500
KC-600など
難燃用 ポリエステル樹脂、ポリエチレン樹脂、ゴムなどに混合
その他 接着剤、化学砥石、ニス、ワックス、アスファルトに混合
塗料、印刷インキ 難燃性塗料、耐蝕性塗料、耐薬品性塗料、耐水塗料、印刷インキ KC-500
KC-600など
複写紙 感圧複写紙(ノーカーボン紙)、電子複写紙
国や地方自治体、多量の伝票が使用される金融・保険業、その他の事業所
KC-300
その他 紙や毛織物などのコーティング、自動車のシーラント、陶器ガラス器の彩色、カラーテレビ部品、農薬の効力延長剤  
(出典:『PCBによる環境汚染とその対策(昭和47年6月通商産業省公害保安局編)』東京都公害局発行,1972)に一部追加)

2.PCB使用製品について

(1)電気設備 トランスの写真
(a)高圧トランス
 トランス(変圧器)とは、ある電圧の交流電力を、高低差を変ええた電圧の電力にする機能を持つ装置( )です。メーカーや大きさによって差がありますが、重量は約300〜400kg程度、絶縁油中のPCBの量は、重量の約35%程度であり、PCBとトリクロロベンゼンが6:4の割合となっています(KC-1000やAr-T100など)。

(b)高圧コンデンサ
  コンデンサ(蓄電器)とは、電気を一時的に蓄えたり、電圧を調整するための装置です。メーカーや大きさによって差がありますが、重量は約50〜70kg程度、封入液はPCB100%でコンデンサ重量の約43%となっています。

(c)低圧トランス/コンデンサ
 (i)低圧トランス・コンデンサ

  電子レンジ、テレビ、冷暖房器、洗濯機等の家電製品のペーパーコンデンサーに含浸させるなどして使用されていました。1個当たりのPCB含有量は、数g〜数十g程度となっています。家電用に使用されたPCBは約800t(PCB使用量の1.4%)と言われています。

 (ii)蛍光灯・水銀灯用コンデンサ
蛍光灯の図   住宅用蛍光灯では使用されていません。PCB含有量は、蛍光灯の安定器用で数十g程度です(30〜50ml)。

 (iii)低圧トランス
  6kVA以下を対象とする変圧器。通常乾式であり、液状PCBは含んでいません。1個当たりのPCBの含有量は数g程度となっています。

(2)柱上トランス
 電柱に取り付けられた配電用変圧器で、標準タイプで約50Lの絶縁油が使用されています。絶縁油中のPCB濃度は数〜数十ppmと低濃度ですが、その量は約400万台とPCB汚染物の中では最大の量となっています(半分以上が現在も使用中です)。本来柱上トランスにはPCBを使用していなかったといのですが、絶縁油の再生処理過程で混入したものと考えられています(柱上トランスのPCB量は、欧米と同じ基準(5〜50ppm)であれば、PCB汚染物と見なされず、通常の廃棄物処理またはリサイクルされます。しかし、日本の基準が0.5ppmと欧米より10〜100倍も厳しくなったためにPCB汚染物としての管理が義務付けられました。この圧倒的な量の汚染物が新たに発生したことが、近年のPCB処理の流れを作り出した推進役となっています)。

(3)熱媒体など
 化学製品や食品工場の熱媒体や、高温用潤滑油、作動油などでも使用されていました。PCB含有量は、原液(100%)〜数ppm程度となっています。

(4)ノーカーボン紙(感圧複写紙)
 ノーカーボン紙の染料を溶解する溶媒としてマイクロカプセル中に内包されていました。PCB含有量は、感圧紙重量の3〜5%となっています。