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日本の動き

エコケミストリー研究会の情報誌「化学物質と環境」RADAR に掲載した情報を紹介しています。
下記の情報をご利用になる場合は、各情報元をご確認下さい。

最新号:2022年5月号
厚生労働省が「労働安全衛生規則等の一部を改正する省令案要綱」の答申結果を公表
「環境基準等の設定に関する資料集」の公開について

2022年 1月号 3月号 5月号
2021年 1月号 3月号 5月号 7月号 9月号 11月号
2016年〜2020年の日本の動き
2011年〜2015年の日本の動き
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2000年〜2005年の日本の動き

2022年5月号(No.173)

厚生労働省が「労働安全衛生規則等の一部を改正する省令案要綱」の答申結果を公表
 厚生労働省は、3月23日に「労働安全衛生規則等の一部を改正する省令案要綱」について、労働政策審議会より妥当であるとの答申があったことを公表した。
 本改正案は、「職場における化学物質等の管理のあり方に関する検討会報告書」(2021年7月19日公表)において、化学物質による労働災害を防止するために必要な規制のあり方が提示されたことを受け、当該報告書に基づき、労働安全衛生規則等における規定について、見直しを行うものであり、厚生労働省は、この答申を踏まえて、関係省令の改正作業を進めるとしている。
 主な改正のポイントは、労働安全衛生規則関係では、(1)事業場における化学物質の管理体制の強化、(2)化学物質の危険性・有害性に関する情報伝達の強化、(3)リスクアセスメントに基づく自律的な化学物質管理の強化、(4)化学物質の自律的な管理の状況に関する労使等のモニタリングの強化となっている。有機溶剤中毒予防規則、鉛中毒予防規則、特定化学物質障害予防規則等の関係では、(1)管理の水準が一定以上の事業場に対する個別規制の適用除外、(2)作業環境測定結果が第三管理区分の事業場に対する作業環境の改善措置の強化、(3)作業環境管理やばく露防止対策等が適切に実施されている場合における特殊健康診断の実施頻度の緩和となっている。なお、施行は2023年4月1日、もしくは2024年4月1日となっている。
 この改正では、事業場における化学物質の取り扱いに大きな変更を伴うので、施行までに準備を進めることが求められる。(文責:浦野 真弥)

「環境基準等の設定に関する資料集」の公開について
 環境省は、国立環境研究所が3月30日に表記の資料集を公開したことを紹介した。
 1969年2月に、いおう酸化物に係る環境基準が閣議決定により最初に定められて以降、多くの項目について環境基準や、それに準ずる指針値の設定・改定が行われてきたが、その経緯や設定根拠については、資料として一元的に取りまとめられていなかった。
 「環境基準等の設定に関する資料集」は、国立環境研究所が、環境省水・大気環境局の協力の下、関連する過去の審議会等の答申、報告、配付資料や通知等を収集し、一元的に取りまとめたものとなっている。
 資料集のサイトでは、環境基準の位置づけと性格に始まり、環境基準の目的や決め方、基準設定に至らない場合の扱いについても簡素に説明されている。資料集自体は、大気、水質、土壌、騒音に区分され、総説、各々の対象ごとの基準値や指針値、その設定根拠等が取りまとめられている。
 エコケミストリー研究会でも、PRTR排出量解析において毒性値を取り扱っているが、基準設定の根拠を確認するために古い資料を探すことや購入することもあった。このように経緯や根拠が取りまとめられたことは、今後の管理のためにも非常に有意義だと考えられ、この資料が環境規制や環境リスクの評価・管理の考え方の理解の促進につながることが望まれる。(文責:浦野 真弥)


2022年3月号(No.172)

環境省が「4月1日から石綿の事前調査結果の報告制度がスタートします」を公表
 環境省と厚生労働省は、新年度から表記の報告制度が開始されることを3月1日に公表した。
 2022年4月1日から、建築物等の解体・改修工事を行う施工業者は、大気汚染防止法に基づき当該工事における石綿含有建材の有無の事前調査結果を都道府県等および労働基準監督署に報告することが義務づけられる。
 この報告は、原則として電子システム「石綿事前調査結果報告システム」から行うこととされており、パソコン、タブレット、スマートフォンから、行政機関の開庁日や開庁時間にかかわらず、24時間オンラインで行うことができ、1回の操作で都道府県等と労働基準監督署の両方に報告することができる仕様となっている。また、複数の現場の報告も、まとめて行うことができる。
 事前調査結果の報告対象は年間200万件程度と見込まれており、(1)建築物の解体工事(解体作業対象の床面積の合計80m2以上)、(2)建築物の改修工事(請負代金の合計額が税込100万円以上)、(3)工作物の解体・改修工事(請負代金の合計額が税込100万円以上)のいずれかに該当する工事(2022年4月1日以降に工事に着手するもの)で、個人宅のリフォームや解体工事なども含まれる。ただし、上記以外の工事であっても建築物等の解体・改修時には事前調査の実施、調査結果の保存等が必要とされている。また、事前調査は必要な知識を有する資格者(一般建築物石綿含有建材調査者、特定建築物石綿含有建材調査者、一戸建て等石綿含有建材調査者)に依頼する必要がある。
 排出は当分続くと見込まれることから、適切な管理の継続が望まれる。(文責:浦野 真弥)

「光化学オキシダント健康影響評価検討会(第1回)」が開催
 環境省は、3月3日に表記の第1回検討会を開催した。
 光化学オキシダントについて、1973年の環境基準の設定以降に多くの科学的知見が蓄積している。また、植物による二酸化炭素吸収を阻害することから、気候変動という観点からもその影響が懸念されている。このような背景を受け、2022年1月の中央環境審議会大気・騒音振動部会において、「気候変動対策・大気環境改善のための光化学オキシダント総合対策について<光化学オキシダント対策ワーキングプラン>」を提示し、光化学オキシダントの健康影響に係る環境基準の再評価と植物影響を勘案した環境基準の検討を視野に入れ、知見の取りまとめを推進していく方針が示された。
 また、諸外国では光化学オキシダントの主成分であるオゾンについて環境目標値を改定する動きがあり、WHO(世界保健機関)はオゾンの環境目標値に関するガイドラインを昨年改定している。
 環境省は、国内外の光化学オキシダントに関する科学的知見を踏まえ、(1)光化学オキシダントの毒性学研究に関する健康影響、(2)光化学オキシダントの疫学研究に関する健康影響、(3)光化学オキシダントに関する健康影響評価を検討し、令和4年12月頃に取りまとめる予定としている。
 大気中の反応は複雑で、大陸からの影響もあるため対策も難しいが、街中で白煙と強い酸臭の排ガスを排出している車両を見る頻度は一時期よりも上がっているように感じられる。できる対策の確実な実施も重要と考える。(文責:浦野 真弥)


2022年1月号(No.171)

環境省が「プラスチックに係る資源循環の促進等に関する法律施行令等の公布及びプラスチック使用製品廃棄物分別収集の手引きについて」を公表
 環境省は、1月19日に令和3年6月11日に公布された「プラスチックに係る資源循環の促進等に関する法律」の規定に基づき、法律に係る表記の施行令等(政令2件、省令・命令5件、告示2件)の公布および分別収集の手引きについて公表した。
 法律では、プラスチックの資源循環の促進等を総合的かつ計画的に推進するため、設計・製造、販売・提供、排出・回収・リサイクルの製品ライフサイクル全体において資源循環体制を整備するよう設計されている。
 今回の施行令等では、その具体的な基準や手順等を示しており、政令で法の施行日を令和4年4月1日とし、設計認定等の申請に係る手数料の額、特定プラスチック使用製品及び特定プラスチック使用製品提供事業者の業種、分別収集物の再商品化に必要な行為等の委託の基準等を定めた。
 「プラスチックに係る資源循環の促進等に関する法律施行規則」では、再商品化計画、自主回収・再資源化事業計画及び再資源化事業計画の認定等に係る各種手続などの細則を定めた。そのほか、プラスチック使用製品の設計について主務大臣の認定を受けるために必要な申請手続や特定プラスチック使用製品提供事業者が、合理化により製品廃棄物の排出を抑制するために取り組むべき措置についての判断基準となるべき事項などを定めている。
 プラスチックの利用と循環に関しては、国民の意識と制度や国際的な潮流との間に乖離があるように感じられ、趣旨等の浸透も求められよう。(文責:浦野 真弥)

環境省が「令和2年度漁業者の協力による海底ごみ回収実証業務の結果について」を公表
 環境省は、12月9日に表記の結果を公表した。
 環境省は、水産庁とも連携し、漁業者等がボランティアで回収した海ごみを自治体が処理する場合の費用を補助する制度を2020年度に新設した。初年度は21の道府県が本制度を利用し、持ち帰ったごみの処理が進められている。さらに、この取り組みについて「漁業者の協力による海底ごみ回収実証地域」として、7地域を決定し、令和2年度より実証業務を開始している。
 実証業務では、自治体と漁業者間の協力体制の構築の手順、回収から処分までに発生する課題の解決、より効率的・効果的な回収、海洋ごみの発生源特定などの検討に資するマニュアルの策定を3か年程度で進めていく予定であり、令和2年度は自治体・漁業者へのヒアリング・アンケート調査、及び海底ごみの調査が行われ、その結果が今回公表された。
 この結果では、海底ごみが多い場所・時期、海ごみ回収の効果や課題などのヒアリング等調査の結果に加えて、実際に回収されたごみ量と質が示されており、全調査地点において、プラスチック類の占める割合が高いが、東京ではゴムが多いなど、地域的な違いがある可能性も示されている。
 海洋ごみは回収が難しいケースが多いため、国や自治体による支援の継続が求められる。あわせて漁業関係者等から提案されている経済合理的な仕組みについても検討が必要であろう。(文責:浦野 真弥)


2021年11月号(No.170)

環境省・経済産業省・厚生労働省が「特定化学物質の環境への排出量の把握等及び管理の改善の促進に関する法律施行令の一部を改正する政令」の閣議決定及び意見募集の結果について」を公表
 関係三省は、10月15日に表記の閣議決定および意見募集の結果を公表した。
 今回の改正では、最新の有害性に関する知見等に基づいた対象物質の追加、および最新の有害性情報が物質選定基準に合致しないもの、およびばく露が小さい(排出移動量、推計排出量または製造輸入量が小さく、環境中での検出がなく、かつPRTR届出・推計の実績がない)ものの除外が行われている。
 対象事業者が排出移動量を届け出る必要がある第一種指定化学物質は、現行の462物質から改正後は515物質となる。なお、特定第一種指定化学物質は、現行の15物質から23物質となる。また、SDSの交付が必要となる第二種指定化学物質は、現行100物質から134物質となる。
 これらの新たな指定化学物質の排出量・移動量の把握ならびにSDS提供義務は2023年4月1日からとなっており、排出移動量の届出は2024年4月からとなっている。
 対象事業者においては、大幅な変更となるが、施行に向けて排出量の把握方法などの検討を進めていく必要がある。当会でも準備を進めているが、単なる届出物質の増減に留めず、有用な化学物質情報として活用されることが強く望まれる。(文責:浦野 真弥)

環境省が「水質汚濁に係る環境基準の見直しについて」を公表
 環境省は、10月7日に表記の基準見直しの告示を公表した。
 本告示により、人の健康の保護に関する環境基準のうち、六価クロムについての水質汚濁に係る基準値および地下水の水質汚濁に係る環境基準が0.05mg/Lから0.02mg/Lとなる。これは2018年9月に内閣府食品安全委員会において、六価クロムの一日耐容摂取量(TDI)が1.1μg/kg体重/日と設定されたことを受けて、2020年4月に水道水質基準値が変更されたことによる。
 また、生活環境の保全に関する環境基準のうち、大腸菌群数を、新たな衛生微生物指標として大腸菌数へ見直している。従来の大腸菌群数は、ふん便汚染の指標として設定されていたが、水環境中において大腸菌群が多く検出されていても、大腸菌が検出されない場合があり、汚染を適切に把握できていないことがあった。このような背景と基準設定当時にはなかった大腸菌数の簡便な培養技術が確立したことを受けて、変更となった。なお、大腸菌数の基準値は、現行の河川、湖沼、海域の類型区分とその利用目的の適応性に基づき設定することとされた。また、各々の測定方法は告示に示されている。これらの施行期日は2022年4月1日となっている。
 六価クロムについては、追って水経由の摂取リスクを想定したその他の関連法令の基準値についても変更されていくと考えられるので、注意を要する。(文責:浦野 真弥)


2021年9月号(No.169)

経済産業省がグリーンイノベーション関連プロジェクトの計画を策定・公表
 経済産業省は9月14日に(1)「『製鉄プロセスにおける水素活用』プロジェクトに関する研究開発・社会実装計画」および(2)「『燃料アンモニアサプライチェーンの構築』プロジェクトの研究開発・社会実装計画」を策定したことを公表した。また、9月15日に同プロジェクトの公募を開始(1)(2)したことを公表した。
 国は2050年カーボンニュートラル目標に向けて、令和2年度第3次補正予算において2兆円の「グリーンイノベーション基金」を国立研究開発法人新エネルギー・産業技術総合開発機構(NEDO)につくり、官民で野心的かつ具体的な目標を共有した上で、これに経営課題として取り組む企業等に対して、10年間、研究開発・実証から社会実装までを継続して支援していくこととしている。
 基金の適正かつ効率的な執行に向けて、産業構造審議会グリーンイノベーションプロジェクト部会において、「分野別資金配分方針」が決定された。これを踏まえて、プロジェクトごとの優先度・金額の適正性等を審議し、各プロジェクトの内容を「研究開発・社会実装計画」として策定し、順次公募を開始することとなっている。
 これらは我が国の産業発展、カーボンニュートラル達成に重要だと考えられるが、不透明な部分も多いことから、基金の趣旨である「野心的かつ具体的な目標」に向けて官民一体となって推進していくことが望まれる。(文責:浦野 真弥)

経済産業省が「カーボンリサイクル技術ロードマップ」を改訂
 経済産業省は、7月26日に表記のロードマップの改定を公表した。
 カーボンリサイクルとは、CO2を資源として捉え、これを分離・回収し、コンクリート、化学品、燃料など多様な製品として再利用するとともに、大気中へのCO2排出を抑制する技術である。
 「カーボンリサイクル技術ロードマップ」は、当該技術について、目標、技術課題、フェーズ毎の目指すべき方向性を設定し、広く国内外の政府・民間企業・投資家・研究者など関係者に共有することによりイノベーションを加速する目的で、学識経験者・技術者を中心に、内閣府、文部科学省、環境省の協力を得て、2019年6月に策定された。
 2019年のロードマップの策定後、国内外においてカーボンリサイクル技術に係る研究開発・事業化が加速するとともに、米国をはじめとした国々との国際的な連携が進展する等、多岐に亘って大きな進展があったため、今回、進展のあった新たな技術分野(大気中からCO2を直接回収する技術と合成燃料)を追記し、カーボンリサイクル製品(汎用品)の普及開始時期を2040年頃に前倒しするなどの改定を行っている。
 カーボンニュートラルに向けて急速な社会転換が生じている。上記のカーボンリサイクル、左記の脱炭素技術の開発や、エネルギー構成の転換と安定供給など各技術やシステムの社会実装に向けて、着実に前進させることが求められる。(文責:浦野 真弥)


2021年7月号(No.168)

国土交通省が「2023年から世界の大型既存外航船にCO2排出規制開始」を公表
 国土交通省は6月18日に「2023年から世界の大型既存外航船にCO2排出規制開始〜国際海事機関(IMO)第76回海洋環境保護委員会(6/10〜17)の審議結果〜」を公表した。
 国際海事機関(IMO)は、6月10日〜17日にかけて、第76回海洋環境保護委員会をWeb形式で開催し、世界の大型外航船への新たなCO2排出規制「既存船燃費規制(EEXI)・燃費実績(CII)格付け制度」に関する条約を採択し、当該規制を2023年から開始することを決定した。これにより、従来は新造船のみが対象であったCO2排出規制が既存船に対しても適用され、国際海運からのCO2排出量の大幅削減が期待されることになった。
 そのほか、同委員会では、日本主導で共同提案した海運脱炭素化のための研究開発・実証を支援する5000億円規模の国際ファンド創設案が審議されたが、条約承認の是非について、次回審議へ持ち越された。また、北極海における重質燃料油の使用・保持の禁止やシブトリンを含有する防汚塗料の禁止等について関連する国際条約を採択した。
 すでに我が国でもIMOでの国際合意に基づく2050年の国際海運からのGHG排出の削減目標50%、および今世紀中のゼロエミッションを目指すための「国際海運のゼロエミッションに向けたロードマップ」が2020年3月に策定され、2028年に向けてゼロエミッション船の開発などが進められている。
 陸上輸送において急激な脱炭素シフトが起こっているが、海運に関しても大きな変化が訪れていると考えられ、日本での技術開発や先進的取り組みの推進が期待される。(文責:浦野 真弥)

環境省が「再生可能エネルギー等の温室効果ガス削減効果に関するLCAガイドラインの改訂について」を公表
 環境省は、7月1日に表記のガイドラインの改定について公表した(。
 再生可能エネルギーの導入による温室効果ガス排出削減効果の評価に当たっては、二酸化炭素を排出しない使用時のみだけではなく、ライフサイクル全体を考慮した削減量を評価する、いわゆるライフサイクルアセスメント(LCA)にも着目することが必要となる。
 環境省は、2013年3月に「再生可能エネルギー等の温室効果ガス削減効果に関するLCAガイドライン」を策定し、事業者が自らライフサイクルを考えた温室効果ガスの削減効果の算定を行うためのガイドラインを公表している。
 今回は、前回のガイドライン策定から8年が経過し、その間に利用が拡大した輸入バイオマスを活用する事業者がLCAの観点から自らの事業を評価することができるよう、ガイドラインの該当箇所の内容を拡充させる等の改訂を行ったものとなっている。
 昨今の国際会議での議論、海外の法律制定、国内関連法案の改定など、脱炭素に関わる変化のスピードが上がっているように感じられる。再生可能エネルギーに関しては、普及率の増加に伴って、利用調整など、種々の技術やシステムとの併用も多くなると考えられる。状況に応じた適切な評価が可能となるよう継続的な国のイニシアチブが求められる。(文責:浦野 真弥)


2021年5月号(No.167)

国土交通省が「気候サミット特別セッション(海運・海洋部門)の結果報告」を公表
 国土交通省は4月21日に米国が主催した首脳会合「気候変動サミット」に併せて開催された海運・海洋分野に関する特別セッションの結果を公表した。
 会合には日米等10カ国の閣僚等が出席し、船舶のゼロエミッション実現に向け、国際海事機関(IMO)を通じてグローバルで野心的な気候変動対策の強化に取り組むことを確認した。
 日本からは、海運・造船大国として、ゼロエミッション船を2028年までに実現し、国際海運の脱炭素化をリードするとともに、各国と連携し、IMOにおいて野心的かつ効果的な国際ルールの策定に取り組む旨を表明した。
 我が国では、国際海事機関(IMO)での国際合意に基づく2050年の国際海運からのGHG排出の削減目標50%、および今世紀中のゼロエミッションを目指すための「国際海運のゼロエミッションに向けたロードマップ」が2020年3月に策定された。このロードマップでは燃料利用効率の向上、運航効率化、次世代燃料利用が示されているが、ゼロエミッション船には、次世代燃料利用を筆頭に船舶設計や再生可能エネルギー利用、廃熱利用などの省エネ技術導入や、電力利用、船上削減技術などあらゆる効率化技術の導入検討が必要と考えられる。今回の2028年までのゼロエミッション船の実現宣言は、ロードマップスケジュールを大幅に加速させるものと考えられ、国の強い支援が求められる。(文責:浦野 真弥)

海洋研究開発機構が房総半島沖水深6,000m付近の海底から大量のプラスチックごみを発見したことを公表
 (国研)海洋研究開発機構(JAMSTEC)は、3月30日に表記の調査結果を公表した。
 陸域から海洋に流出するプラスチックの量は、年間1,000万トン以上と推定され、累積では数億トンに及んでいる可能性がある。一方、海洋の実態調査に基づく全地球的な海洋プラスチックの現時点の存在量は44万トン程度と見積もられ、両者の間には非常に大きな開きがあった。生物の付着によって重くなったプラスチックが沈降することは認知されていたが、深海調査は容易ではなく、実態はあまり把握されていなかった。
 今回のJAMSTECの調査は、房総半島から500kmほどの沖合にある「黒潮続流・再循環域」の直下の深海平原(水深6,000m付近)で実施され、ほとんど調査されていなかった大深度の海底にもプラスチック汚染が広がっていることを明らかにした。この見つかったごみの大部分(8割以上)はポリ袋や食品包装などの「使い捨てプラスチック」で、35年以上前の食品包装がほとんど無傷で見つかるなど、水温の低い深海ではプラスチックがほとんど劣化しないこともわかった。
 海底のプラスチック存在量は海流や地形の影響を受けるため、正確に把握することは困難であろうが、様々な研究により、相当量が沈降していることが分かってきた。私たちは、プラスチックの製造と使用の責任を改めて考える必要があろう。(文責:浦野 真弥)


2021年3月号(No.166)

環境省が「地球温暖化対策の推進に関する法律の一部を改正する法律案の閣議決定について」を公表
 環境省は3月2日に表記の法律案が閣議決定されたことを公表した。
 2020年10月「2050年カーボンニュートラル」の宣言を受けて、地域では、2050年の「ゼロカーボンシティ」を表明する自治体が増加し、企業では、ESG金融の進展に伴い、気候変動に関する情報開示や目標設定など「脱炭素経営」に取り組む企業が増加し、地域の企業にも波及している。
 こうした状況を受けて、(1)パリ協定・2050年カーボンニュートラル宣言等を踏まえた基本理念の新設、(2)地域の再エネを活用した脱炭素化を促進する事業を推進するための計画・認定制度の創設、(3)脱炭素経営の促進に向けた企業の排出量情報のデジタル化・オープンデータ化の推進等について改正する法律となっている。
 上記(2)について、市町村は施策実施に関する目標を実行計画に追加するとともに、地域の再エネを活用した脱炭素化を促進する事業に係る促進区域や環境配慮、地域貢献に関する方針等を定める努力をすることとされている。さらに、市町村から、計画に適合していること等の認定を受けた地域脱炭素化促進事業計画に記載された事業については、関係法令の手続のワンストップ化等の特例を受けられることとししている。
 地域に応じた事業を、スピード感をもって推進することが求められる情勢だが、拙速な事業推進による周辺影響も防ぐ必要があり、両者のバランスが求められる。(文責:浦野 真弥)
環境省が「生態毒性予測システム『KATE 2020 version 2.0』への更新について」を公表
 環境省と国立研究開発法人国立環境研究所は、1月28日に「生態毒性予測システム(通称:KATE)のインターネット版「KATE2020 version 2.0」を公開した。
 KATEは生態毒性QSAR(定量的構造活性相関)モデルの一つで、化学物質の構造式等を入力することにより、魚類急性毒性試験の半数致死濃度、ミジンコ遊泳阻害試験の半数影響濃度等を予測するシステムとして利用されてきた。
 今回、公開された「KATE2020 version 2.0」は、2011年に公開した「KATE on NET」の機能を大幅に充実させて2019年1月から公開している「KATE2017 on NET」(2020年1月に「KATE2020 version1.0」へ更新)の更新版である。
 「KATE2020 version 2.0」の主な機能は、(1)化学物質の構造にもとづく生態毒性値の予測、(2)予測結果が適用範囲内であるかの判定、(3)QSARモデルのグラフ表示、(4)複数の化学物質に対する毒性値の予測であり、また、改良点は、(1)QSARモデルの更新、(2)表示・操作方法の改良(入力された化学物質の部分構造に対する構造判定結果を表示する機能の追加等)、(3)構造クラス名の改良となっている。
 現在は、法律で定められた毒性試験の代替にはならないが、スクリーニング目的では活用することができる。多種多様な化学物質による影響を最小化するために、このようなツールが有効活用されることが望まれる。(文責:浦野 真弥)


2021年1月号(No.165)

環境省が気候変動影響評価報告書を公表
 環境省は、2020年12月17日に気候変動適応法に基づくものとしては初めて表記の報告書を公表した()。
 本報告書では、最新の科学的知見に基づき、全7分野71項目を対象として、影響の程度、可能性等(重大性)、影響の発現時期や適応の着手・重要な意思決定が必要な時期(緊急性)、情報の確からしさ(確信度)の3つの観点から評価を行っている。 なお、この報告書は令和3年度に予定している気候変動適応計画の変更や、地方公共団体及び事業者による気候変動影響の把握や適応策の検討等に活用されることが想定されている。
 重大性、緊急性、確信度のいずれも高いと評価された項目のうちで今回確信度が向上した項目として、「利用可能な水量の減少」、「斜面災害の多発による農地への影響等」、「海面水位の上昇による河川河口部における海水(塩水)の遡上による取水への支障等」、「気候変動による短時間強雨や渇水の増加」、「強い台風の増加等に伴うインフラ・ライフライン等への影響」等があげられており、新たに「特に重大な影響が認められる」と評価された項目として、「台風や竜巻、大雪による建物への影響」、「暑熱による高齢者への健康影響」等があげられている。新たに「対策の緊急性が高い」と評価された項目としては、「家畜の生産能力、繁殖機能の低下等の影響」、「台風の最大強度の空間位置等の変化、竜巻被害等の影響」等があげられている。そのほかに複合的な災害影響、分野間で連鎖する影響もあげられており、適応と緩和の両輪での対策推進の重要性が説かれている。
 不確定な要素も多分に含まれる予想であるが、それゆえに科学的な知見の集積・更新と適応等検討の継続が求められる。(文責:浦野 真弥)

欧州化学物質庁がSCIPデータベースに五百万件以上の登録があったことを公表
 欧州化学品庁(ECHA)は、2021年1月8日から登録が開始されたSCIPデータベースに5百万件以上の登録申請があったことを1月11日に公表した。このSCIPデータベースは、欧州廃棄物枠組み指令(WFD)に基づくもので、REACH規則の高懸念物質(SVHCs)を0.1wt%以上含む製品を上市する企業が化学物質名や濃度範囲、製品中で当該物質が含まれる場所、安全に使用するための情報、廃棄物になった際の適切な管理方法などの安全な取扱情報を登録しなければならない。ECHAは、今後、数か月の間にデータを整理して公開する予定であり、機能の充実を図っていく予定であるとしている。
 高懸念化学物質の透明性が高まることによって、消費者がより多くの情報に基づく商品を選択することが可能となり、リサイクル関連事業者が再資源化過程を改善できることが期待されている。
 ECHAの責任者は、「先進的な企業はすでに情報を送付してきており、より安全なサーキュラーエコノミーに貢献している。先進企業を参考にして、全ての企業が製品中の有害化学物質に関する知見を増すための役割を果たすことを促す。」としている。
 収集した膨大な製品中有害化学物質の含有情報の利用方法については、まだ不透明な部分があるが、今後の我が国の資源循環施策にも活用できる部分があると考えられる。(文責:浦野 真弥)


上記の情報をご利用になる場合は、各情報元をご確認下さい。

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